「ドクター僧りょを目指して 〜健康も「き」から〜」
坂井 泰法
ぼくの家はお寺だ。いろんな人が、さまざまな悩みをかかえて、相談にやって来る。住職であるお父さんが、その人たちの話お聞いてあげている。
一回の相談で終わる人もいれば、毎月、必ず来る人もいる。人、それぞれだ。
でも、どの人もみんな、お寺に来る時と帰る時の表情が変わる。お寺に来る時は、悲しそうな、つらそうな、見ているだけで切なくなるような顔。
それが、帰る時は、ほっとしたような、落ちついたような、おだやかな顔になる。
ぼくは思う。きっと、その人たちは、お父さんに悩みを聞いてもらったおかげで、重かった心が、軽やかになったんだろうな、と。
お父さんは、その人たちに、まほうの薬をあげたんだ。その薬とは、心の病気をなおす薬。お医者さんが出す薬とはちがうけれど、病気をなおす、という意味では同じだ。
お父さんは、相談に来る人たちの話を、じっくり聞いて、その人と同じ立場になって、その人のために一番良い事を、いっしょになって考えてあげているんだと思う。だから、みんな、気持ちが楽になるのだろう。
「病は気から」の言葉があるように、心の持ち方ひとつで、病気になる事がある。
ぼくは、「健康も『き』から」だと思う。その「き」とは、希望の希、祈願の祈、嬉しいの嬉、喜びの喜だ。
病気は必ずなおる。と希望を抱いて祈り、物事に対して、素直に嬉しいと感じ、喜ぶこと。こういう「き」でいっぱいの気持ちを持つことが、病気をやっつける大きな力になるのだと、強く信じている。
将来、ぼくは、お医者さんの資格を持った僧りょになりたい。世界中を明るい「き」でいっぱいにして、みんなが健康で幸せに暮らせるような未来にしたい。
ドクター僧りょ。それが、ぼくの大きな大きな夢だ。